早期療育の重要性
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未来の選択肢を広げるために、
まずは専門家に相談をお子さまの成長に「周りの子と違う」ものを感じても、「成長するとともに自然に改善される」と考えるのは普通のことです。次第に不安を感じるようになってきても「自分の子どもが発達障害であることを認めたくない。認められない。」という方はたくさんいます。
でも、その間に「療育のチャンスを逃してしまう可能性がある」ということを知っていただきたいのです。
子どもの脳が発達する上で、必要な脳神経と不必要な脳神経の取捨選択が最も活発に行われるのが幼児期です。人間がある能力を習得し、伸ばすことができる年齢には限りがあるのです。発達障害に早期発見・早期療育が重要であるといわれるのはこのためです。
お子さまが、苦手なことを乗り越えて、得意なことをぐんぐん伸ばし、のびのびと生きていくために。カンバスの療育にできることがあります。
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気がかりなことは
何ですか?- 落ち着きがない
- ことばが遅い
- 歩き始めが遅い
- 会話が噛み合わない
- こだわりが強い
- 視線が合わない
- 友達と遊ばない
- 動きがぎこちない
- かんしゃくを起こす
- おもちゃでうまく遊べない
1.発達障害ってなに?
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発達障害ってなんでしょう?
心の病気でしょうか。それとも、育て方が間違っているのでしょうか。
いいえ、どちらも正しくはありません。発達障害とは、生まれつき他の子ども達とは違った物の見かた、感じかたをする子どもの症状の総称です。発達障害がなぜ起きるのかは、まだはっきりと分かっていません。世界中でたくさんの研究者がいろいろな調査をしていて、どうも遺伝子が関係しているらしい、ということが分かってきています。
しかし、これは決して発達障害の子どもの親や兄弟が、発達障害であるということではありません。原因となるいくつかの遺伝子の組み合わせや、遺伝子の持つ役割が急に変化することで起きると考えられています。発達障害の子どもたちの考え方はとてもユニークです。今はそれを障害と捉えるのではなく、個性の一つと捉えることが広まりつつあります。
世界中に、他の人にはない感性や発想で活躍している、大人になった発達障害の人たちがたくさんいます。自分の得意な分野をみつけて、生き生きと人生を楽しんでいる人たちがたくさんいます。発達障害があっても輝きに満ちた人生を送ることができることは、彼らが体現してくれている通りです。
ですが、発達障害の子どもがそのように輝いて生きていけるようになるためには、子ども一人一人の個性にあったものの伝え方や教え方、居場所作りをしてあげることがとても大切です。そうしてはじめて、苦手なことは乗り越えて、得意なところをぐんぐんと伸ばしてゆくことができるのです。
3.自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症とは
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生まれつき持った脳の特徴により、周りの人とうまく関係を築くことができない子どもの症状です。言葉の遅れを伴うこともあり、自分の気持ちや考えを相手にうまく伝えられないことから、かんしゃくを起こしたり、他の子どもを叩く、噛むなどの行為に置きかえて表現することがあります。
原因はまだはっきりとは分かっていません。最新の研究では、自閉スペクトラム症の原因となるいくつかの遺伝子が組み合わされて、脳神経の発育に影響を与えることで起きると考えられています。
心の病気ではないので薬で治すのではなく、小さいうちから療育を通して、周囲の人との関わり方を学び、たくさんの刺激を受けて世界を広げることが、その子にとっての豊かな将来につながります。
自閉スペクトラム症の特性と行動
1.コミュニケーションが苦手
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自分の言いたいことを言葉に置き換えて、相手にうまく伝えることが苦手です。そのため会話のキャッチボールが続かなかったり、何度も同じことを話し続けることがあります。
相手と気持ちや関心を分かち合う事に興味を示しにくく、小さいうちは視線が合いにくい、親や友達が指を指した方に視線を移さない、といった行動にあらわれます。
また、相手の表情や仕草から、相手の気持ちを想像することも苦手なので、大きくなるにしたがって、周囲から「空気が読めない子」として、距離を置かれることがあります。
また、一度にたくさんのことを話されると頭の中が混乱してしまい、指示通りの行動に移せないことがあります。
2.こだわりの強さ
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臨機応変に周囲の状況に合わせて行動することが苦手で、そのことがこだわりの強さとなってあらわれます。
そのため、集団の行動に応じられなかったり、通園先での決まり事を守ることができない場面がでてきます。例えば一日のスケジュールを、決まった手順や順番でないと実行することができない。また、決まった道順でないと通園できない、などです。
そして急なスケジュールや場所の変更があると、頭の中が混乱してしまい、パニックの引き金になることがあります。
3.興味や関心の幅の狭さ
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興味や関心を引かれる事柄が少なく、また一度、夢中になることのできる物事を見つけるとその事ばかりを何度も繰り返し行います。
小さいうちは、その傾向は遊びの中で特に多く見られます。いつも同じ玩具を使い、決まったルールで繰り返し遊びます。(ミニカーを決まった順番、間隔で並べる。ミニカーのタイヤを延々と回して眺めている、いつも同じアニメの決まったシーンばかり巻き戻して繰り返し観るなど)
遊びに使う道具と遊び方が広がってゆかず、ルーティンになります。
また、くるくる回る換気扇をいつまでも眺めていたり、水道からながれる水を眺めることに没頭する、などの姿がみられることもあります。自分の手の平を目の前でひらひらするのを眺めていたり、指や腕を複雑なやり方で動かすのをいつまでも見ているのも同じで、専門用語では「常同行動」といいます。
自閉スペクトラム症への対応
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小さいうちに一番大切なことは、子どもが安心して過ごすことのできる居場所(環境)作りです。
言葉の表現が不器用な上にこだわりが強いので、気持ちの切り替えがうまくいかないことがたくさんあります。そのため、かんしゃくを起こしたり友人を叩いてしまったりと、周りの大人や子どもからは「困った子」として扱われることも多いです。
ただし、誰よりも困っているのは、その子自身であることを忘れてはいけません。
パニックや人を傷つける行為は、その子にとって心のSOSにほかなりません。適切な伝え方が分からずに、このような行動に置き換えて表現しているのです。
そして、その子のいる場所や言葉の伝えかたを工夫することで、パニックやかんしゃく、他害行為(または自傷行為)を未然に防ぐことができます。
その子どもの行動の一つ一つには必ず理由があります。原因となっている事柄を見つけ出し、その背景を周囲が理解し共有することが第一のステップです。
ほんの一例ですが、自閉症スペクトラムの児童との付き合い方のポイントを以下に挙げます。
- ◆あらかじめ一日のスケジュールを立てて、順序を一つ一つ丁寧に伝える(見通しを伝える)
- ◆予定の変更は決まった時点で、できるだけ早く子どもに伝え心の準備をさせる。
- ◆耳から伝わる指示よりも、目で見て理解する方が得意なので、何かを説明する際にはイラストや絵カードを使って工夫する。
- ◆指示は一つ一つ、そして具体的に伝える(曖昧な表現は伝わりにくいです)。
×ちょっと待っててね
〇時計の長い針が、5のところにくるまで待っててねそして、できたことはその場で褒めて、どんどんできることを増やしていくことが、とても大切です。
4.注意欠如・多動症(AD・HD)
注意欠如・多動症(AD・HD)とは
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生まれつき持った脳の特徴によって、自分の行動をコントロールすることが難しい子どものことで、落ち着きがなくじっとしていることができない、また目の前のものごとに集中し続けることが苦手です。
くわしい原因ははっきりと分かっていませんが、AD・HDに関係するいくつかの遺伝子の組み合わせによって、脳の神経の発達と脳内の物質(脳内ホルモンといいます)の調整に影響を与えて起きると考えられています。
AD・HDの特徴に特に大きな関わりを持っている脳の部分を、「前頭前野」といいます。ちょうど額のあたりに位置しており、人間が生きていくうえで必要な判断の多くは、ここが役割を担っています。
- ◆ものごとを正しく認識する。
- ◆ものごとを記憶する。
- ◆自分の行動をコントロールする。
- ◆ものごとや課題の順序を整理する。
- ◆効率よく計画を立てる。
- ◆ものごとや行動の結果を予測する。
これらの能力は、「前頭前野」が正しく機能することで初めて発揮されますが、AD・HDの場合はこの部分がうまく働かず、物事を順序立てて考えたり、落ち着いて行動をとることに支障をきたします。
注意欠如・多動症の特性と行動
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AD・HDの子どもの特徴を以下に3つ挙げます。
ただし子どもによって、すべての特徴が当てはまる子(混合型)、不注意が特に目立つ子(不注意優勢型)、落ち着きのなさと衝動性が目立つ子(多動性・衝動性優勢型)の3つのタイプに分かれます。
1.不注意
目の前の課題に集中することが難しく、常に周囲の物事に気がとられやすいです。そのため、人の話を聞き逃したり、必要な情報を見逃すことが多くあり、日常生活において、ケアレスミスが絶えません。
- ◆物をよくなくす。
- ◆片付けや整理整頓ができず、いつも部屋が散らかっている。
- ◆約束の時間を守ることができない。
- ◆物事をすぐに投げ出してしまい、やり遂げることが難しい。
これらはすべて注意力の不足から引き起こされます。周りの人たちからは、「努力が足りない」「怠けている」と思われがちですが、決してそうではありません。脳のホルモンのバランスが原因なので、自分自身の力でコントロールすることは非常に難しいのです。
2.心のブレーキを踏むことができない(衝動性)
思いついたことを、どのような結果になるのかよく考えずにすぐに行動に移します。
たとえ悪い結果(事故や怪我)が訪れることが、はっきりと分かっているようなことでも我慢することができず、理屈よりもその場の気分のほうが勝って実行してしまいます。
外に出た際に気になるものがあると、周りの確認をせずに急に走り出すこともあるため、常に手つなぎが必要となる場合もあります。
また、相手の気持ちを考えたり、その場の雰囲気に気を配らずに一方的に話します。そして一度、話し出すと自分の気持ちが満足するまで止めることができません。
3.落ち着きがない(多動性)
じっとしていることが苦手で、常に歩きまわったり体を動かし続けます。
落ち着いて椅子に座っていることが難しく、幼稚園や保育園の課題がなかなかすすまないことがあります。食事中でもほかのことに気をとられて、ふらふらと立ち歩きます。
大きくなるにしたがって、しだいに落ち着いて行動できるようになることが多く、小学校を卒業するころには多動性や衝動性は改善されます。
その反面、不注意が目立つようになってきます。
注意欠如・多動症への対応
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AD・HDの子どもは常に動き回っています。そして、身の回りのいろいろな物に気をとられ、目の前の物事に集中することが苦手です。
そのため、正しい判断や行動をとる事が可能になるように対人トレーニング(ソーシャル・スキル・トレーニング)と、環境作りの2つが必要となってきます。
自分のとった行動がどのような結果につながるのか、まわりの人はどんな気持ちになるのか自然と予測ができるように、まずは簡単な課題からスモールステップでトレーニングを重ねていきます。
そして、身の周りのものごとによって気が散りやすいので机についたてを作る、お勉強や課題にとりくむ時には、飾り気のない静かな部屋に移動するといった配慮が大切です。
薬を飲むことによって改善させることもできますが、症状がよほど重くない限り、小さいうちは服薬に頼るよりも、対人トレーニングや居場所の工夫によって適切な行動をとることができるように、経験を重ねていきましょう。
また、LD(学習症)をあわせ持つことも多いため、文字や計算を覚える際には教材に工夫が必要です。
最後に、AD・HDの子どもの心の成長のためには、成功体験の積み重ねがとても大切です。日頃褒められる機会よりも怒られることのほうが多いので、大きくなるにしたがって、自信を持つことができなくなるからです。
“自分はがんばっても、ぜんぶうまくいかない” “自分はだめな人間なんだ”
そんな気持ちが心の大半をしめるようになってきます。
なにかに挑戦するまえに、はじめからあきらめてしまうようになります。ですから、小さなことでも、できたことはその場で褒めてあげてください。それが子どもにとって心の糧となります。
AD・HDは頭の中でいろいろな考えが浮かぶので、大きくなってからアイデアマンとして、才能を開花させるかたもたくさんいらっしゃいます。
その芽を伸ばすために、たくさんの成功体験を重ねて“自分はがんばったらできるんだ”という自信(心理学では“自尊心”といいます)を身につけることが、豊かな人生を送るためのキーポイントです。
5.学習障害(LD)
学習障害とは
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発達障害のひとつとされていますが、学習スキルをのぞいて、障害をもっていない子どもとなんら変わるところがありません。
ここでいう学習スキルとは、「読む」「書く」「計算する」の3つの能力のことです。LDはこのうちひとつか、もしくは複数に大きな困難がある子どものことです。
自閉スペクトラム症やAD・HDとは異なり、言葉の発達や行動に目立った特徴はありません。
コミュニケーション能力や、集団行動への適応にはまったく問題がないため、幼児のうちは親を含め、周囲の大人がこの障害に気づくことは少ないです。ものごとを考える力(知能)はまったく正常です。
小学校に入学して、国語や算数といった教科を学ぶようになって、はじめて明らかになる障害ですが、勉強が苦手であるとか、本人の努力が足りないということでは決してありません。
生まれながらの特徴として、アカデミックスキルがうまく働かないのです。学習にかかわる脳神経の発達が、損なわれているのではないか、と考えられていますが、原因ははっきり分かっていません。発達障害のひとつであるAD・HDにともなって起きることもあります。
学習障害への対応
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学習障害の子どもの能力をのばすためには、まず、つまずきのポイントがどこにあるのかを明確にすることです。
例えば、読むことが困難ならば、文字を読み間違っているのか、それとも文字を読みとばしてしまっているのか、あるいは文章の要点をまとめることができないのか、と細かく分析します。
そして、読みやすいように文字を大きくする、文章の要所に蛍光ペンでラインを引く、名詞と接続詞のあいだに空白をもうけるなど、教材に工夫をします。
また、書き写しが苦手であれば、簡単に文章が訂正できるように、ノートのかわりにタブレットを使うなど、ひとりひとりの特性に合わせて、学びやすい環境を作ります。また、LDの子どもの能力を伸ばすために特に大切なのは、記憶の使い分けです。これはワーキングメモリとよばれている、人間の認知能力の中でもとても大切な領域で、あらゆる判断や行為に深く関わる記憶能力です。
療育では、特にこの能力を鍛えるための課題をいくつも組み合わせて、学習スキルの獲得を目指します。
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